公開: 2019年8月15日
更新: 2019年8月xx日
重く不安定な元素に中性子を当てると核分裂を起し、より軽い物質と中性子に分かれます。天然ウランにわずかに含まれているウラン235に中間子を当てると核分裂を起します。天然ウランには、安定したウラン238も大量に含まれています。ウラン235に当たって発生した速い中間子は、このウラン238に当たると吸収されてしまいます。ですから、天然ウランをそのまま利用すると、核分裂の連鎖は起きません。
1939年にフランスの物理学者達は、天然ウランを使う場合でも、核分裂で発生した速い中間子を重水を満たした水槽の中で、遅くすることができることを発見しました。この方法で、天然ウランを使って核分裂を連鎖的に起こすと、ウラン238の一部からプルトニウムと呼ばれる人工的な物質が生成されることが分かりました。このプルトニウムも不安定で、ウラン235のように核分裂を起こす性質があります。
天然ウランに含まれるウラン235は、わずか0.7パーセントです。99.3パーセントは、ウラン238なのです。貴重なウランを精製して核分裂を起すためには、大量の天然ウランがなければなりません。そこで、遅い核分裂で作られるプルトニウムを原爆の材料とする考えが生まれました。遅い核分裂を原子炉で連鎖的に起こすと、大量の熱が発生するため、その熱を利用して発電をすることができます。そして、その結果として作られるプルトニウムを濃縮できれば、天然ウランから大量のプルトニウムが作れます。
原子力発電で使われるウランからできる核廃棄物は、それを濃縮すれば、プルトニウムが生成できます。このため、現在、核廃棄物の再処理は国際的な組織であるIAEAによって厳しく管理されています。日本にあるたくさんの原子力発電所から出た核廃棄物は、現在、再処理されないまま貯蔵されており、そこから作られるプルトニウムから原爆を生産すれば、その数は恐ろしい数になると言われています。